指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

うっちゃんの子供が生まれる。

 バイト仲間のうっちゃんから破水して緊急手術になったという知らせがラインで来たのは今朝五時三十四分のことだった。普段スマホの音源は切ってあるのでそのときは眠っていて気づかず返信したのは目が覚めた直後七時十三分になっている。生まれましたの知らせが八時十六分で予定日より一ヶ月も早かったのでNICU(新生児集中治療室)に入ってるという知らせが少し後で届いた。とにかく無事に生まれて本当によかった。グレートマザーまーさんにも同じような知らせが来ていてまーさんから聞けばわかるからわざわざ僕なんかに知らせる労なんて執らなくてもよかったのにと後から思ったけどいつもとは違う精神状態だったのかも知れない。僕としては前にも書いた通りまず女の人というのはすごいなあという感心とも賛嘆ともつかない思いをいちばん強く抱く。それと毎日地球上で新しい生命が誕生してるんだから実は僕たちは毎日そのことを心の底から祝福しなければならないんじゃないかという気もする。そしてどのひとつの命もないがしろにされるべきじゃないと思う。どのひとつの命もないがしろにされない世界でありますようにと祈る。世界中でたくさんの命が日々ないがしろにされているのが世界の実像だったとしても。とにかくうっちゃんには少しゆっくりして欲しい。そして体をきちんと治して欲しい。自分のうちに親子三人で初めて帰った日が本当の戦いの始まりだから。