指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

本当のこと。

 昨日だったかバイトの途中に十一月採用というなかなかレアな時期に入ってきた新入社員さんに話しかけられた。話しかけられたと言ってもこの人にここの部署での仕事を教えたのは僕なので別に初めて話をするという訳じゃない。この前ちょっと見ちゃったんですけど○○さん(僕のこと)って高木さん(「からかい上手の高木さん」のこと)のファンなんですかと言う。たぶんスマホのケースを見たんじゃないかと思う。ああそうですと答えると自分もですと言う。それでちょっとだけ意気投合して話してたら彼(男性なので)が言うにはああいう誰も悪い人がいないお話ってよくないですかということだった。そう言われてみてすごく複雑な気持ちにさせられた。そうかオレは誰も悪い人がいない物語にこれほど強く惹かれていたのかというのがひとつ。でもそれってオレのベースをなす考え方と相容れないんだよなというのがもうひとつ。それは矛盾だ。誰も悪い人がいない世界なんてどこにもない。当たり前だけど。他ならぬオレ自身が悪者でありうる。でもそういう世界がないという現実とそういう人になりたいという思いの間には当然矛盾が生まれる。なんかさあブログのシメに「最後まで読んでいただきありがとうございました」とか書いてあるじゃん。そんなにいい人でいたいんですかという気がする。つまりアニメの「誰も悪い人がいないお話」は「誰も悪い人がいないブログ」というのと軌を一にしてるんじゃないかという気がするんだよね。当たり障りのないことしか書かない。いい人でいられることしか書かない。僕は書きたいことを誰にも気兼ねなく書くよ。これからもずっとね。