指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

TVドラマ電車男再び。

昨日が第5話だったと思う。エルメスがストーカーに遭うという話はログにはないらしい(未確認)が、先週の論旨から言っても、そういうことを問題にする気はない。もともと自由に扱っていい素材なのだから、ログにあるならあるでおもしろく脚色すればいいし、ないならないで「そういうことだってあり得た」という感触が充分に盛り込めればそれでいいというだけの話だ。

でもこの「そういうことだってあり得た」というのは作品内部の問題なので、逆に、素材を扱う上での自由度ということとは切り離して考えることができる。つまりテレビドラマ「電車男」はログ「電車男」のリアリティーに左右される必要はないが、テレビドラマ「電車男」のドラマとしてのリアリティーは、きちっと支えなければならない。そういうことになると思える。

それで第5話は、「そういうことだってあり得た」というリアリティーを逸脱しちゃったのではないか、というのが言いたいことだ。ストーカーに遭うエルメスを電車が送り迎えしたり、ストーカーが誰なのかを突きとめたりするのはまあいいとしても(人によってはこれだってどうかなと思うかも知れない。)、ストーカーと直に顔を合わせて妙な告白のし合いを始めたのにはちょっと困った。好きか嫌いかで言えば嫌いだし、あり、か、なし、かで言えばこれはなしだろうと思った。

まずあの場面で目の前のストーカーなどに構ってる暇があったら、一刻も早くエルメスの許に駆けつけ安心させてやれよ、というのがひとつ。

もうひとつ。あの告白のし合いで、電車とストーカーは似たもの同士の光と影、みたいな位置になっていて、電車がどれほど高くまで昇ってきたか、ただのオタからどれだけエルメスに近づけたかを言うことが真の狙いだと思うんだけど(エルメスのベストショットが電車と一緒のときのものだったり)、意図が露骨過ぎてドラマの地平からぽっかり浮いてしまっている。それはもう、付け足しみたいなただの言葉の羅列にしか感じられない。あり、か、なし、かで言えば、なし、だ。

ストーカー役の俳優さんは、たぶん去年のNHK大河ドラマ新撰組!」で、経理の不行き届きから文字通り詰め腹を切らされる経理役を好演した俳優さんだと思う(名前とかほんとにそうかどうかとか、ウェブで調べればいいじゃん→自分)。昨日も上手に演じていて好感が持てました。