指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

「ベルカ」の裏側からのお話。

リンさんの小さな子

リンさんの小さな子

高橋源一郎さんの日記で、昨年一番泣けた本みたいな風に書いてあるのを読んだので心して開いた。最後のページまで読み終えて、どこが泣けるんだよと思った瞬間、これまでのいろいろがかちりと音を立てて組み合わさった。ずるいよ、と思いながら泣いた。ずるい。こんなことされたら泣くしかないじゃん。でも、それ以上は何を書いてもネタバレになりそうなので書かない。
泣く前は、「ベルカ」の裏側からの話だな、「ベルカ」でたくさん死ぬ人々の、そのうちのひとりが語る話だな、と思って読んだ。それくらいのゆるい構えで行った方が、結末の衝撃は大きくなるかも知れない。ちなみにこの作品が本当に書きたかったことは、この作品の中には書いてない。それはただ想像力の中だけにある。
・・・読み返してみたけど禅問答みたいだ。