指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

自己規定の危うさ。

反時代的毒虫 (平凡社新書)

反時代的毒虫 (平凡社新書)

最近は本を素面のとき用と酔っぱらったとき用に分けていて、これは後者。ジキルとハイドではないけれど、酔っぱらったときの時間と素面のときの時間がそれぞれ連続していればいいのになと夢想する。それなら朝起きて前夜の記憶がおぼろげでも、その晩酔っぱらえば前の晩の記憶を思い出せることになるわけだ。・・・単純なことを言ってるつもりなんだけど読み返してみるとわかりにくい。
「反時代的毒虫」というのが車谷さんのこの時点での自己規定なんだろうけど、読んでみるとちょっと危うい気がする。作者は作品ほどに強固な物語ではない。考えてみれば当たり前のことだ。作品は事後的だが作者は今ここにいるからだ。