指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ボートハウスクラブから遠く離れて。

ロイヤル・ボートハウス・クラブのトレーナーがすごく流行ったのは僕がトラッドの道に踏み込んだ直後くらいのことだったと思う。年で言うと80年代の前半のどこかだ。そんなに不確かなのはなぜかと言うと、前にも書いたように僕はこのブランドにはほぼまったく興味がなかったからだ。僕の頭を占めていたのはブルックス・ブラザーズでありポール・スチュワート(スミスではなく。)でありVANジャケットでありJ.プレスやニューヨーカーだった。マクベスのスクール・カーディガンでありトップサイダーのデッキシューズ(しかしそれは僕の足の形では宿命的に似合わなかった。)でありコールハンのローファーだった(高くて一度も買えなかったけど。)。でも少なくともロイヤル・ボートハウス・クラブは僕らの世代の何かを象徴していたような気がした。世代的にはもう少し上の人たちがスイートスポットに入るのかも知れないけど、まあ多少の誤差には目をつぶるとして。
ブログのタイトルを決めるときにこのあまり関心のないブランド名からの引用をしたのは何かマイルストーンを設定したかったからだ。そしてそこから現在の自分までの距離を測定したいと思った。もうひとつ理由があってもう自分も四十代に入ってかつてのようには若くはなくなり、ブログに何か書くことがあるとしたら懐古的なものにならざるを得ないだろうと思ったことだ。振り返って過去に立つ背の高いマイルストーンを眺めているようなセルフイメージなら何か書けるかも知れないと思われた。
それならもう少し自分に密着した何かをタイトルに含めればよさそうなものだったが、自分の中でとりあえず終わっているものでないとその役目にはふさわしくなかった。例えば「ブルックス・ブラザーズから遠く離れて。」では駄目な訳だ。ブルックス・ブラザーズは僕の中ではまだ全然終わっていないから。
という訳でこういうタイトルになった。
以上のような枕で何を述べたかったかと言うと、「ボートハウスクラブから遠く離れて。」というタイトルをやめて新年からタイトルを変更したいということだった。のだが書いているうちに気が変わった。来年もこれで行きます。
今年もご覧いただいた方、コメントを下さった方、本当にどうもありがとうございました。来年もできる限り頑張って更新したいと思います。それでは皆様、どうぞよいお年をお迎え下さい。