指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

扁桃腺の手術。

家人と子供の帰省先で家人の姉のところの今度小学五年生になる甥が扁桃腺の手術を受けた。手術を受けると少し前に聞いたときにそう言えば自分も小一のときに同じ手術を受けたことを思い出した。何十分かの手術の間泣き叫び通しで医者が反射光で手許を照らすために額につけている円形の鏡に血しぶきが飛んだのをはっきり憶えている。それが自分の血だとわかってひときわ恐くなったからだ。
子供の頃病弱だった自分は、小学校に上がってから急に体質が変わって丈夫になり熱も滅多に出さなくなった、と思っていたんだけど、そんなことはなかった。あの手術のおかげだった訳だ。そういう手術を受けさせる決断をした両親の気持ちを思うと心の深いところが震える気がする。
甥の手術は全身麻酔で行われ、全身麻酔というのも別の機会に経験したことのある僕に昨日になって家人が電話でいろいろと尋ねる。甥や姉が少しでも安心するならと詳しく答える。全身麻酔なら少なくともかつての自分のように術中に泣き叫ぶ必要はない。ずっと楽に終わると思うよ。
切除された甥の扁桃腺はスーパーボールくらいあったということだ。麻酔からもちゃんと醒め夕方には水分も取れるようになった。大変だったけどこれからは今までよりずっと丈夫になると思う。