指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

やり過ごす台風。

午前中の外回りから帰るときには首都圏のJR在来線に遅れが出始めているということだった。家人からのメールで、小学校は給食が終わり次第先生が引率して生徒を帰宅させることになったそうだ。駅から会社までの道は風は出て来ていたが雨はまだほとんど降っていなかった。午後1時半くらいのことだ。
それからすぐにだんだんと吹き降りが強まったらしい。夕方には会社の窓から見える車道に白いしぶきが上がるほどの雨になっていた。交通機関に徐々に影響が出始め、帰った方がいい人は帰ってよいことになった。それが午後5時半くらいのこと。どれくらい待てば台風が行き過ぎるのかわからなかったけどここのところ午後9時頃までは仕事をすることにしているので、普通に仕事をした。時間が来たら帰ろうと思った。ずぶ濡れになってもたかが五分の帰路だから。会社にほとんど人が残っていず、電話も鳴らないので仕事が捗った。
8時半に気づいたときにはすでに雨はやんでいて雲には切れ間が見えた。9時前に社を出て帰宅。あれだけの台風を、結局窓越しにやり過ごしただけだった。