指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

また寝酒をやめている。あるいは、ブックオフの日々。

もう何度目かになるかわからないけどここ五日間ばかり寝酒をやめている。調子に乗って飲み過ぎて胃を壊したからだ。寝酒をやめるとすることが無いので結局本を読む。翌朝の二日酔いも気にしなくていいので深夜まで読む。家人の好きな「アメト- -ク」とか「怒り新党」とかのオンエアの日には一緒に見たり、気が向かなかったら見なかったりで、見ないときは録画して後で家人に見てもらうことにして読み続ける。という訳でここのところ毎日一冊ずつ読んでいる。本代も馬鹿にならないので最近は買っておいて読まなかった本を読んだり、ブックオフで105円とかせいぜい200円で買って来て読むことが多い。ちなみに最近のお気に入りは吉祥寺のブックオフで、ここの単行本の105円コーナーは個人的な趣味で言うとものすごく充実している。しかも105円に落ちるのが早い。同じ週に別の店で750円で売ってた昨年の新刊が、もう105円になってたりする。先週は金原ひとみさんの「星へ落ちる」と青山七恵さんの「わたしの彼氏」をどちらも105円で買った。そのときは気づかなかったけど、帰宅後読もうと思ったら金原ひとみさんの「星へ落ちる」の扉にサインのようにも印刷みたいにも見える署名を見つけた。そこで別の日書店で確認したら、「星へ落ちる」のその部分に金原さんの名前は印刷されていないことがわかった。さらにちょっと調べてみて見つかった数少ない金原さんのサインの画像と、筆跡としてはよく似てる気もする。スキャンしてみた。

「星へ落ちる」を読み終えて「わたしの彼氏」を開いたら、こちらにもサインのようなものがあった。しかもこちらは日付まで書いてある。二冊買ってどちらもサイン入りで105円。本物だったら相当にうれしい。でもこれらが本物かどうかはちょっと調べようがない気がする。ご本人に直接確認する機会でもなければ。
二、三日前は同じ店で金原さんの「憂鬱たち」と平野啓一郎さんの「決壊」の下巻をそれぞれ105円で。今日は池袋、サンシャイン通りブックオフでなんと「決壊」の上巻と新井千裕さんの「復活祭のためのレクイエム」をそれぞれ200円で。「決壊」はちょっと前に図書館で借りて読んで、文庫になったら欲しいなと思っていたけど、結局上下二冊で305円で手に入ったことになる。「復活祭のためのレクイエム」は随分前に書いた気もするけど滅多に読まない文芸誌で群像新人賞受賞作としてたまたま読んですごく気に入り、単行本も楽しみにして買った。1986年、僕は今の年齢の半分にも満たない22歳だった。その後、その頃自分の部屋に子供たちを集めて教えていた私塾を卒業する生徒の中に、この本を贈るにふさわしい子がいたので手製のきれいなカバーをつけてプレゼントした。余談だけど同じ学年の子があとふたりいて、それぞれ「百年の孤独」と「テニスボーイの憂鬱」を同じカバーをつけて記念に贈った。それ以来「復活祭・・・」は文庫版をそれこそ数え切れないほど読み返して来た。今日背表紙を見つけたとき、懐かしいな、と、珍しいな、を両方感じながら棚から引き抜いた。するとその装丁のあまりのかっこよさに、どうしても手許に置いておきたくなった次第。
それにしても一日一冊のペースだと本の感想を書くのが追いつかない。まあどこかでまた、怠け始めるんだろうけど。