指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

誰も来そうもない日。

夏休みに入ったのでここ一ヶ月弱は日曜日をのぞく午後誰かしら生徒さんが塾へ来ていたけど昨日は久しぶりに夜まで誰も来る予定がなかった。授業の予習も必要なかったので時期も時期だし今頃塾への問い合わせがあるとも思えなかったけど一応電話番をしつつYMOの古いアルバムを聴きながらカーヴァーの評伝に関する感想と言うかそういうものを書いた。
最近気づいたんだけど近くのスーパーでパートとアルバイトを募集している。午前中だけでよいということで塾にも影響しない。家人とふたり週休二日くらいで働くとそれと塾からの収入で、充分とは言えないまでも今の貯金を食いつぶすスピードをかなり抑えながら生活して行けることがわかった。これに加えてまあそれはないが先日母親から申し出のあった仕送りをもしも受けるとすると節税の仕方にもよるけど年収ではなく手取りレベルで前職で得ていた金額を上回る可能性が出て来る。仕送りを受けなかったとしても塾の生徒さんが今より10人弱でいいので増えれば同じレベルになり今の感じだとちょっと時間をかければそれは特に不可能とも思われない。つまり、離職して以来初めてもしかしたら子供を育てながらこのまま生活して行けるかも知れないという見通しがうっすら立った。丸六ヶ月それだけでは親子三人とても暮らして行けない失業手当をもらいながら職も決まらずふらふらした後三ヶ月初期投資ばかりがかさんでいつまで経ってもまるで採算の合わない仕事を続けるのは精神的に本当にきつい体験だったけど、今はまーどんなに気持ちが軽いことか。でもその程度で追いつけるなんて安サラリーマンにもほどがあったな、ほんとに。
という訳で昨日の午後は塾でひとりかなりご機嫌に過ごした。長い経済的な苦労の後でレイ・カーヴァーにもこんな風に気の軽くなった日があったことと思う。そのことでも彼にはすごく親近感を覚える。ただ、レイがその後もメアリアンと共に歩み続けられなかったことをふたりのためにとても残念に思う。