指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

マッカーシーの台本。

悪の法則 コーマック・マッカーシー著 黒原敏行訳「悪の法則」
訳者のすばらしい解説があるので他に言うことなんてほとんど無い。マッカーシーの何が好きかと言われれば文体だということになる。じゃあその魅力が台本という形でも味わえるのかと言われれば、読む前にいちばん気になったのはそれだった訳だけど、読み終えてみていや充分に味わえると言い切れる。台本はあまり読んだことがなくて若い頃シェイクスピアをいくつかと鴻上尚史さんのものを少し読んだくらいなんだけどそれらとはとても異質なものを感じた。簡単に言うとト書きと言うのか動作の指示がすごく具体的で細かくて小説の地の文に近い。そこにいつものマッカーシー節が流れているのがはっきりと感じ取れる。
監督もキャストもとても豪華な映画になりそうだ。でも観に行かないと思う。映画化されることのとても多い作家だけどこれまで一本も観たことがない。観ようとも思わない。