指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

小説が消えて行く。

あまりいい話ではないので固有名詞は省くけど最寄りの大手古書店(名を秘す意味もないか。)のハードカバーの小説の棚がここ一年くらいで半分近くに縮小されてしまった。105円の棚も同じ。でもこれは意図的に縮小したのではなくハードカバーの小説を売る人が少なくなってしまったことを意味するんじゃないかと思う。どういうことかと言うと本当に好きな少数の作家の新刊は買うけど他は買わないようにしている、そして本当に好きな作家の新刊は売らないという人が増えてるんじゃないかということでそれなら自分の実感にもかなりよく当てはまる。だから古書店への供給量が激減しているんじゃないだろうか。僕も何年か前なら国内の作家に限っても十人くらいの新刊は必ず買っていたけど今は翻訳を含めた村上春樹さんの新刊と高橋源一郎さん以外は買わない。海外だとコーマック・マッカーシーカズオ・イシグロガブリエル・ガルシア=マルケスなら買うけど後者ふたりはもう何年も新刊が出ていない。後は図書館で借りるか105円まで下がるのを待つ。だから頭の中には結構な長さの順番待ちリストがある。いつかこのリストの長さがゼロになってまた思うままに本が買えるようになればいいなとは思っているけど自分で書いていてなんだか切ない。