指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

決断速っ。

マグネットで看板に貼り付けたペン立ての中に、塾の書類を丸めて入れて持ってってもらえるようにしてある。窓ガラスに人影が映って誰か持ってったなと気づいた五分後に電話がかかって来て、さっきパンフレットもらったんだけどという親御さんが生徒さんを連れて今から行きたいと言う。さすがに面食らって、あの、お、お話でいいんですかと間抜けなことを口走るとそれでいいとの答えで、電話を切り際に学校名と学年を尋ねるのがやっとだった。十分もしないうちにふたりがやって来てさらに十分くらい話すともう塾に入ることが決まっていた。速っ。・・・つかもう初手から入る気満々でやって来たみたいだ。いやあ、決まるときにはあっさり決まるもんだね。なんでも大手の進学塾でなく、家庭的な雰囲気の塾を探していたそうだ。次の新聞広告には「家庭的な雰囲気」って入れようかな。居酒屋のキャッチフレーズみたいだけど。