指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

古風な倫理。

短篇五芒星

短篇五芒星

五つの短編が収められている。四編目に出て来る本郷タケシタケシは「ディスコ探偵水曜日」にも出て来てたっけ?それはさておきいずれも超常に近い事件が起こったり、異常に近い心理状態の人物が登場したりする。もちろんあの独特なスピード感のある文体で書かれていて、プロットの先行きも気になるし一気に読まされる。でも、作品の落としどころはいずれも割と古風でまともな倫理に浸された場所だ。実は状況や設定や人物が異常な割には作品が落ち着く場所は割にまともな倫理に貫かれているというのがこの作者のパターンなのかも知れない。どの作品にも度肝を抜かれるけど。