指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

また大変だったお話。

 午前中はバイト。僕が大変なのをわかってくれてるバイトの先輩のグレートマザーまーさんは一緒のシフトに入ると最近いつも比較的楽なローテーションに入れてくれるのでこれが本当に助かる。負担がすごく軽減される。精神的にも楽になる。ただまあ甘えてばかりでなくそれなりに気を遣って恩返しというかそういうのもちょっとはやっている。帰宅後はシャワーを浴びて家人と一緒に一杯飲んで子供の買って来てくれたお弁当を食べる。それから昼寝。今日の塾は一件体験授業がある上に今週休んだ生徒さんふたりの振替授業もやることになっていた。この合わせ技が思いの外大変でまた疲れ果てる。最近何かと言うと疲れ果ててんだけど年のせいなのかな。十年前に塾を始めて何年かは複数学年の授業でもこんなに疲れた覚えがない。まあ多少忙しいかなと思った程度だ。最初にやった清掃のバイトのときもバイト七時間やって30分で帰って来て六時間塾の授業をやってというのを週六日続けていてもちろんきついなとは思っていたけどここまで疲弊してはいなかったような気がする。年のせいだとしたらもうどうしようもないのかな。頭も衰えて来たみたいで授業中の言い間違いや言いたい言葉が見つからないといったケースも増えたように思う。お酒はやめられないしやめる気もないから将来的に認知症とかになったらどうしようとか考えるとちょっと恐い。実際父親も晩年は認知症だったし。まあでも同年代でリタイヤしちゃった人から比べると頭はまあまあ使ってる方じゃないかとも思う。あでも本は読まなくなったんだよな。一応隠居みたいな立場になることができたら今持ってる本を読み返して時間をつぶそうと思って本は大体取っといてある。でももうそんな高尚なことはできないかも知れない。本読むの面倒になって来ちゃったから。村上春樹さんもインプットは十代と二十代だとおっしゃってた覚えがある。五十代なんかになるとインプットしようったってなかなか頭に入ってこないしよっぽど興味を惹かれるものでもなければそもそも読もうという気になんかならない。これからも何人かの新作は楽しみに読むと思う。でもその数は本当に限られてるし年と共に鬼籍に入られ読めなくなってしまう方も出てくるだろう。中上健次吉本隆明ガブリエル・ガルシア=マルケスウンベルト・エーコの新作がもう出版されないのと同じように。そう思うと明るい未来なんて望めないような気もする。でもまあ音楽だけは今でも飽きずに聴き続けているので新しいアーティストにはなかなか手出ししないにしてもお気に入りはずっと聴き続けることだろう。お気に入りの音楽があれば年取るのもそんなに悪くないかも知れない気もしてくる。いやそんなことないか。やっぱ年なんか取りたくないか。