指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

人手が足りない。

 バイトは昨日まで六連勤で明日からまた六連勤。のはずだった。それが今日シフト係のしーちゃんから直にラインが来て夕方から夜にかけて三時間出られないかと打診された。でもそれだと先週の月曜から今週の土曜まで十三連勤になってしまう。会社的には六連勤までOKで七連勤はやってはいけないことになっている。なので今日の三時間は昨日出たことにするという裏技が使われた。
 バイト先にはタイムカードをウェブ上に置いたようなプログラムがあって出勤時に専用のタブレットを使ってログインする。退勤時にも同じことをする。それでそれぞれの時刻が記録される仕組みだ。ところが一日に出勤と退勤を複数回繰り返す日は初回の出勤時と最後の退勤時だけその作業をすればいい。それじゃあその日は実働時間がわからないじゃないかということになりそうだけどそうはならないのはそれとは別に紙ベースでその日の勤務時間を手書きしてるからで世の中では通常そういうのを二度手間と呼ぶ。まあそれはさておきたとえば昨日の出勤を例にとると僕は午前11時からほぼ十二時間出勤したことにウェブ上ではなってる。でも午前は数時間で帰り二度目の出勤はかなり遅い時間からなので間に数時間勤務してない時間帯がある。ウェブ上では確認することのできないその時間帯に今日の勤務時間を当てはめることによって今日出た三時間をあたかも昨日出たかのように偽装することができる訳だ。まあ考えようによってはそうまでしてこちらの勤務時間をきちんと積んでくれるというのは良心的なのかなと言えなくもない。ただ若干の何でもあり感がなくもない。土曜日は今後も同じように午前中と夜との二回出勤する予定でいる。ということは中抜けの時間帯に出勤を計上するから日曜日に数時間出てくれという打診が恒常化するんじゃないかという恐れがある。来週の日曜30日は壊滅的に人手が足りないらしい。その日出ると二十連勤になるんだけどしーちゃんに頼まれたら断れる自信がない。