指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

Tシャツを褒められる。

 ドアをノックした後バイトの更衣室に入って行ったらたまたま奥の女子更衣室から別部署の若い女の子のスタッフさんが出てきた。お疲れ様ですとひと言言ってロッカーを開けようとするとそれかわいいTシャツですねと彼女が言う。いきなりなのでちょっと驚いて顔を見るけど見覚えがない。そんなに親しく話しかけられるような間柄ではないような気がする。と面食らってると絵本ですかと言うのであのと口ごもった後11ぴきのねこっていう絵本ですと答える。素敵ですねと言うのでありがとうございますと答え時間もないし着替えなければいけないのでカーテンを閉めた。でもやっぱり若い女の子から褒めてもらえたらおじさんだってうれしい。更衣室を出ながらいいことがひとつあったなと思った。ただその子が誰だかわからなかったのでシフト表で確認したらその時間に更衣室にいることができたスタッフさんはひとりしかいなくてシマオさんといった。その数時間後別部署の仕事に就いてた彼女は僕が通りがかると笑顔で挨拶してくれる。なのでさっき更衣室でお目にかかった方はシマオさんですかと思い切って尋ねるとすごく元気に手を挙げてくれる。なんて言うかかわいい。繰り返しになるけど若い女の子から褒めてもらえたらそれが何を褒められたのであろうがおじさんとしては大変うれしい。その子がかわいかったら尚更なんだけどそういうことはだんだん言いづらくなって行く気がする。