指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

吉本隆明さんの講演録。

 フルのお休み。用もないのに池袋へ行ったら電車を降りたところですでに八割方疲れている。歩くのも若干苦痛だったけど着いたばかりでそうも言えないので家人とふたりでISPに行く。いつものピクルスを買おうとカルディーに入ったらプライベートブランドのコンビーフというのを見つけた。今コンビーフを買おうとするといちばん小さいのでも五百円近くしてとても手が出ない。それが三百円しなかったかな。とにかく安いので試しにひとつ買う。結論から言うと帰って食べたらすごくおいしかった。お近くにカルディーがおありの方は是非一度チェックのほどを。家人はペットフードを思わせるのでコンビーフは食べられないと言うし子供にも少し分けたんだけど特に気に入った訳じゃなさそうだった。僕はどういう訳か子供の頃からコンビーフというのが好きでそれも料理とかに使うんじゃなく缶を開けてそのまま食べるのがいちばん好きだった。今疑問に思うのはそういう食べ方を誰に教わったのかということでうちの母親は自分の手を加えたものしか子供に食べさせなかったのでそういう食べ方を子供にさせたとは考えにくい。じゃあ誰だ?覚えていない。でもとにかく数十年ぶりに食べたコンビーフはとてもおいしかった。
 それからお昼はサブウェイにしようと決めていたのでジュンク堂の向かってちょっと右側の細い通りを少し行ったところにあるサブウェイでふたつ持ち帰りにしてもらう。帰って一杯飲んで昼食の後昼寝。四時半くらいまで寝ている。それからまたシモーヌ・ヴェイユについて調べてたら「ほぼ日刊イトイ新聞」に吉本隆明さんの講演録がアーカイブされててその中にシモーヌ・ヴェイユについてのものがあることがわかった。タイトルは「甦るヴェイユ」。同じタイトルのご著書があって読んだことあるけどそれとは異なる内容のようだった。それを二時間くらい聞いた。それで思ったのはヴェイユはすごいということとすごいけど生活者としては違うんじゃないかということだった。哲学者が休暇をもらって過酷とわかってる労働に一労働者として従事するというのは確かにすごいかも知れない。でもそれは一労働者として働く哲学者であってうまく言えないけど労働者そのものとは違う気がする。ヴェイユは特に知的ではない労働者と自分との差異を自分の中でどう処理したんだかなあ。
 吉本さんの講演は百個以上無料で聴けるそうだ。いまどき吉本隆明でもないのかも知れないけどこういうすごい人がいたということを忘れてしまうのはもったいないのかなあ。とも思う。