指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

インドカレー屋さんのおじさんたちの話。

 たまに行くインドカレーのお店では必ず持ち帰りにしてもらう。お店でアルコール飲んじゃうと帰るのが大変だし高くつくしね。ほらナンとカレーとアルコールって切っても切り離せない三位一体だからさ。辛さが選べるので辛い物好きな僕は「辛口」を頼んでいた。ちなみに家人はほとんど辛くない「普通」を頼む。そしたら「辛口」の辛さが頼む度に少しずつエスカレートして行く。最後の方はカレーの中に明らかに真っ赤なペースト状のものが溶けずに残っててそれを溶かして食べると舌が燃えるように辛くて結局胃を悪くした。さすがに家人が止めに入って以後「中辛」を頼むようにした。何回か食べてなんか物足りないなこれじゃあと思ってたんだけど今日の「中辛」はマックスの「辛口」に近い辛さでこれだよこれという思いとまた胃を壊さないかなという思いが相半ばした。それでどうしてだんだん辛くなって行くのか考えてみた。この解釈がいちばん妥当かなと思ったのがこれってサービスなんじゃないかというものだ。つまりこいつはどうもよほど辛いのが好きみたいだからじゃあ辛さを割り増ししとこうという言わば善意によるエスカレートなんじゃないか。家人と僕が行くと「持ち帰り?チキンカレー普通と中辛?」と尋ねられるくらいには顔を覚えられてるしインド人のおじさんたちは皆さんフレンドリーで感じがいいのでだんだん辛くなって行く理由が悪意とは考えにくい。だとしたら「中辛」を頼んでも徐々に辛さが割り増しされて結局は危険レベルまで行くのかも知れない。いっそ僕も「普通」を頼めばいいのかな。でもそれじゃあ絶対物足りないんだよな。そういう風に考えるとたかが持ち帰りカレーの注文と言えどもなかなかスリリングな挑戦ということになる。スリリングだから楽しいかと言えばそうでもない。ほんとは毎回安定した基準で辛さを提供してもらった方がいい。それとあの赤いペースト状のものってなんなんですか。ハバネロ的な?