指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

本は読むなあ。

 この前年上のおじさんのお客さんと話してたらすごい読書家だということがわかった。最近おうちのリニューアルのために四百冊ほど売ったんだそうだ。分母がわからないので推し量りがたいんだけどまあ四百冊処分するのは結構すごいことだと思う。振り返り見ると僕はもう随分前に読書家ののれんは下ろしている。年齢と共に読書量が落ちてるしなんならここ数ヶ月は一冊も本を通しで読んでないしね。だからすごいですね僕なんか年々歳々本を読むのが億劫になって最近はほとんど読みませんと言うと本は読むなあと言われた。その言い方がすごくかっこよかったんだよね。なんか肩から力が抜けてるって言うか全然なんでもないことみたいに言っててね。それで僕ももう一度読んだ方がいいんじゃないかと思った。自分より年上の日常が読書と共にあるなら僕の日常もまだ読書と共にあってもいいはずだ。でもまあそういうことを考えてる段階で僕は読書家じゃないんだろうなあ。つかたぶん自分を読書家と呼んだことは一度もないと思うんだけど。読書家って自称するのは恥ずかしからさ。