指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

昨日の続き。

 それでリアルタイムで言うと一昨日の木曜日バイト終わりにシフト係のしーちゃんと話すことになった。もちろんバイトが終わったら一目散に帰ってしまいたい訳だけど事情が事情なのでまあしょうがない。できるだけ手際よくこちらの考えを伝えて長引かせないように心がけるしかない。それでお昼過ぎに事務所へ行くとここではなくミーティングルームへ行きましょうとしーちゃんが言う。立ち話かせいぜい事務所の隅の応接スペースで済むんじゃないかと思っていたのでこりゃ思ったより大げさなことになったかなとちょっとびびる。しーちゃんの後についてミーティングルームへ行き腰を下ろすとこの度は誠に申し訳ありませんでしたと言って深々と頭を下げられる。いやいやいやいやそういうつもりじゃなかったのでたぶん誤解されてると思うんですけどと話し始める。自分はただ働きが嫌だと言ってるのではない。いやただ働きはもちろん嫌なんだけどそれよりこの働き方をしてると社員に余計な負担を強いることになるんじゃないかと思ってそのことの方が申し訳ない気がする。要するにイレギュラーな作業をさせてる訳だから。それくらいなら計上されてない七時間半もなかったことにしていいので今後はこのからくりを使った仕事の仕方はなしにする方がいいんじゃないかと思う。しーちゃんの言い分としてはまず計上されてない七時間半について自分たちとしてはきちんと支払わなければならずそのための策はすでに講じたので安心して欲しい。毎日のようにシフトに入ってくれるのは僕くらいしかいないので自分たちとしては大切に扱いたいと思っている。明日までの七連勤についても必ずどこかにつけるので明日は就労時間を記録せずにシフトに入って欲しいということだった。それでいいならこちらとしては異存はないと伝えた。その他に何か就労上で問題があるか。たとえばこのスタッフに困ってるとかそういうことがあれば言って欲しいと言うので最近入ったおじさんバイトがうざいと言おうかと思ったんだけど個人攻撃は止めた方がいいと思ってじゃあ言わせてもらうけどふたり態勢がたまにあるのは構わないが三日とか続くときつい。就労中にまったく休みがないのが何日も続くとさすがに疲れが溜まるから。とか言ってもそれはしーちゃんに訴えてもどうにもならないことだというのはわかってたのでいやそれは言ってもしょうがないことだとはわかってるんですけどと付け加えた。善処したいとしーちゃんは言った。それでじゃあ改めましてこれからもよろしくお願いしますということで十五分くらいで話し合いは終わった。こちらとしてはまあまあこれくらいならという許容範囲内の時間に留めることができてよかった。でも自分が会社で大切に扱われてるとは思わなかった。確かにしーちゃんは気を遣ってくれてると思ってたけど。結論としてはしーちゃんがいる間はバイトを続けようということになる。しーちゃんが異動とかでどっか行っちゃったら少し考えなければいけなくなるかも知れない。