指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

開けられない。

 画像のものとは異なる完全初回限定生産という特別版は予約が開始されるとすぐにどこの通販サイトでも売り切れになってしまった。でも僕よりもウェブに通じてると思われる家人がhontoのサイトにあるのを見つけて予約してくれた。それが発売日から一日遅れて今日届いた。家人は発売日に手にすることができなかったことをしきりに気に病んでるけど僕にしてみれば手に入っただけでも僥倖と言うか奇跡に近い気がしている。家人にはどんなに感謝してもし切れないほど感謝している。ところが梱包を解いてシュリンクパックされた現物を目の当たりにするとあまりに尊すぎて開ける気になれない。パックを破るという行為そのものがすでに冒涜のように思われている。一冊は保存用一冊は読む用として二冊買うヲタの尻尾が我ながら切れてない。(もっとも実際には自分で同じものを二冊買ったことはない。そういうことをする人がいるという話を聞いてなるほどそれはいい手だとひどく感心した記憶があるだけだ。)今は寝酒をやりながらこれを書いていて酒の力を借りてパックを開けられるかどうか自分を試している。今日のスイムは朝の六百五十プラスバイト中の百で七百五十メートル。朝は三十分近く泳いだのに六百五十でそう言ってよければ壁のようなものを感じている。まあ野良スイマーに壁も何もあったもんじゃないという気もする。