指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

別部署の仕事。

 今までぼかして別部署の仕事と書いて来たバイトの仕事はプールの受付のことだ。更衣室の外に簡単なブースが設けられていて業務に必要なものがひと通り揃っている。近くには券売機もある。お客さんは券売機でチケットを買って受付に渡す。受付はそれにハンコを捺してお客さんに返す。お客さんは更衣室で着替えてからシャワーを浴びそのままプールサイドに出て行くことができる。帰りに受付がチケットを受け取る。チケットには退場時間が印字されていてそれより超過していれば追加料金が発生する。その他に定期券などチケット以外で入場するお客さんもいるのでその場合は定期券を預かって退場時に返却する。定期の利用者には時間制限がない。以上がメインの仕事でその他にチケットや定期の利用者数を正の字を使って用紙に記録したりお客さんの質問に答えたり簡単なトラブルシューティングをしたりする。プールが混まなければほぼ座ってるだけの気楽な仕事だ。少なくともプール監視よりははるかに楽だ。もっとも僕はひざが悪くて立ったり座ったりが苦痛なのでたいてい立ったままでいる。それでもプール内ほどはきつくない。ただ接客が苦手なバイトの中にはこの業務を嫌がる人もいる。個人的にはどっちかと言えば受付の方がいいかなと思っている。シフト表を見て受付に回される時間帯を見つけたときはなんとなく気分が明るくなる。でもバイトは学生さんがメインなので彼らが今みたいに試験期間に入ってしまうと元々人手不足なところへ輪をかけて人がいなくなる。するとプール監視要員が受付に回される可能性はほぼなくなる。実際一月は一度も受付には入らない予定だった。少なくとも昨日までは。ところが今日帰り際に事務所にあるシフト表を確認すると(翌日が出勤の場合は必ず確認する。割とこまめに書き換えられてることがあるからだ。)グレートマザーまーさんと僕のみのシフトの予定なのにまーさんは二時間僕は一時間半受付が割り振られていた。じゃあその間プール監視はひとりだけかと思ったらさらに別の部署からひとり監視のヘルプが来ることになっていた。つまりプール監視はずっとふたり態勢だけどまーさんも僕もなぜか受付に回されるということだ。こういう場合受付専門のスタッフを割り当てることによってプール監視は三人態勢を維持しようとするのが通常だ。ところが受付専門のスタッフもメインは学生さんで今はほんとにシフトには入れないらしい。監視業務は三人からひとり減らしてふたりにしてももなんとか回すことができる。でも受付業務はひとり減らしたらゼロになってしまう。受付に誰もいなければ業務は止まる。そこで受付の要員だけは確保しようという苦肉の策らしい。まあでもまーさんと僕にしてみれば棚からぼた餅みたいな話だ。明日出勤したら更に書き換えられていて我々のささやかな受付が取り上げられてたりしませんようにと祈っている。今日のスイムは三十分弱で七百メートル。伸び悩みではある。