指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

午前中のバイトにフルで入る。

 祝日は基本バイトを入れたくないと思ってはいる。でも今日はいろいろあって特別に入ることにした。いろいろのひとつは人手が足りなくてシフト係のしーちゃんがかなり困ってる様子だったこと。彼女には新型コロナにかかったときにも―その他普段からも―とてもよくしてもらってるので僕で役に立つなら一肌脱ぎたかった。それと今日入る男子学生のスタッフさんがなんて言うかうまく説明するのが難しいんだけど僕に私淑してるとでも言うか要するに理由はよくわからないけどすごく慕ってくれていて人員が足りなくて彼につらい思いをさせるに忍びなかったということもあった。それで九月は午前中一時間勤務を短くしてたんだけど今日は男気を出してフルで入ることにした訳だ。月曜日はルーティーンとしては週で一、二を争う複雑さで一部綱渡りみたいにぎりぎりの手配が求められる。でも残りのふたりに指示を出しながらつつがなくこなすことができた。まずは何より。最後の一時間半僕は別の部署での仕事に回されることになっていてちょっと不安だったけど僕がいなくなるのを見越して残りのふたりが予め的を射た質問をしてくれたのには助けられた。たぶん何ひとつ間違えずに仕事を終えてくれたものと思う。お客さんが多くて別部署での仕事もいつもみたいには楽じゃなかった。昨日も触れたヤマザキさんを一瞬見かけたけど彼女も忙しいのかお互い簡単な挨拶を交わしただけだった。彼女は明日こちらの部署に回されることになってるのでもしかしたら僕が付いて仕事を教えることになるかも知れない。
 午前中フルに入ると帰宅してシャワーから上がった時点ですでに午後二時前後になっている。それから一杯飲んで昼食をとって昼寝して四時には起きて塾へ行くというのも考えてみれば随分慌ただしい。まあ一年半以上そういう暮らしをしてた訳だけど。食事を終えて三時頃ベッドに入ってもすぐには眠れない。今日も眠れたのは最後の二十分くらいじゃなかったろうか。だから眠い。なのでやっぱり午前中は一時間時短の勤務で行こうと思っている。明日からの四日間もすでにそうなっている。それも含めて先週の火曜から今週の金曜まで十一連勤中の六十歳。