指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

泳ぐのがつらい。

 今通ってるプールにはサウナが併設されている。サウナというのには一度も行ったことがないのでよくわからないけど子供によるとそこの入場料で本格的なサウナに入れるならとてもリーズナブルだと言う。それで一度行ってみたいということで一緒に行くことにした。日曜の夜はNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送があって子供と家人がとても楽しみにしている。最寄りのと言っても歩けば結構かかるほっともっとでお弁当を買って食べながら観るというのがふたりの習慣だ。プールへ向かう道筋から少しだけ寄り道すればそのほっともっとに行くことができるのでじゃあ帰りに買って来てと家人が言う。その時刻から逆算してこれなら放送に充分間に合うだろうという頃合いに子供と出かけた。子供も割と歩くのが速いので行きは一キロあたり12分くらいのペース。それでも三十分ちょっとかかる。チケットを買って入場し子供はまっすぐサウナへ。僕はプールへ。プールはそこそこ混んでいる。でもまったく休まずに泳ぐスイマーは割に敬遠されがちで上級者コースにいた何人かのうち半分くらいは僕が泳ぎ始めると別のコースに移って行く。申し訳ない気持ちが少々。泳ぎやすくて助かるという気持ちも少々。ただしこのプールで泳ぐのはいつもつらい。なぜかペースが上がってしまうからで原因はよくわからない。今日も23分41秒で千メートルと僕としては速いペースになった。あとで心拍数を確認すると153が最高で150を越えるということは滅多にない(か初めてな)のでそれはつらいだろうと想像された。きっとあまりリラックスしてないんだろうと思う。あるいはさっさと泳いでさっさと帰りたいと思ってるのかも知れない。子供と合流して帰途につくとこのままではほっともっとの予約時刻よりも随分早く着いてしまうことがわかる。それで行きのようには急がずにゆっくり目に歩き途中でドリンクを買って飲んだりする。子供とはいろいろな話をする。小さい頃に一緒に散歩してた頃と変わりない。ゆるゆる歩いてほっともっとに着く頃には予約の時刻は随分近づいている。子供が店に入るとお弁当はすでにできあがってたらしくすぐに袋を持って出て来る。そのまま歩いて途中のセブンイレブンで冷食の空豆を買って帰る。この空豆が安くておいしくてアテにうってつけだ。帰って各々軽く体を洗って居間に落ち着くと「光る君へ」まであと十分くらいある。家人に買って来たばかりの空豆をあっためてもらい缶酎ハイを出してもらってその十分で飲み食いする。その間に家人はふたり分のお弁当をあっため直して無事放送開始に間に合い僕も首尾よく飲み食いを終えてふたりが門外漢に気兼ねせずに物語を楽しめるよう塾に出かける。塾ではいつものオフコースを聴きながら事務的な仕事をちょっとやる。小一時間して九時過ぎに帰る旨家人にラインしお風呂を入れといてもらう。帰宅後入浴中に子供は塾に勉強しに行く。お風呂から出て一杯やりながらこれを書いている。こんな風にうまく段取りがついたときはひとり悦に入ることにしてる。塾でもバイトでも段取りがうまくついたときはすごい達成感がある。もちろん家人以外誰も感心してくれないけどこのささやかな達成感がなければ仕事はもっとずっと無味乾燥なものになるんじゃないかと考えている。