指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

冬のブレザー。

昨日出かけるときに随分寒くなったような気がしたので今年初めて冬のブレザーを出して着た。冬のブレザーというのがどれほど世間で通用する言い方なのかわからないけどうちではそう呼んでいる。対義語は夏のブレザーで、これは素材がサマーウール(クールウール)のもののことだ。冬のブレザーは以前はフラノ地だったのだけど数年前買い換えようと思ってお店に行ったら、冬がだんだん暖かくなっていてフラノのブレザーというのはつくっていないと言われ厚手の普通のウール素材のものにした。風合いはフラノの方が好きだけど、まあ仕方ない。
今の冬のブレザーは家人の実家に初めて挨拶に行くのに買ったもので今気づいたのだけどもう丸7年も着ているが、そういう用途だったのでいいものを買ったせいか傷みという傷みがない。てかったりもしていない。基本的に週1〜2回しかない外回りのときにしか着ないのでそのせいかも知れない。それにしてもよく保っている。
でも愛着があるかと言うとそうでもない。以前は冬のブレザーと言うと自分の中では何か特別なもので(夏のブレザーだって同じだけど盛夏にわざわざ上着は着ない。着る人もいてすごくかっこいいと思うけど、僕はもともと汗っかきなのだ。)、どのブレザーにもそれなりの愛着を感じたが、仕事に着て行くようになって徐々にその愛着が消えて行った。なんかナイーブ過ぎる感じで自分でもどうかと思うんだけど、仕事に使うものに関しては個人的な愛着みたいなものが持てないような気がする。乱暴に言うとそれは仕事のためのものであって自分のものではないと見なされているように思われる。あるいは仕事というのはケであり、ブレザーの本来の用途はハレであるべきだと見なされているように思われる。
今お金に余裕がありハレのためのブレザーが買えるなら、いっそのことツィードのジャケットが欲しい。それはプライベートでしか着ない。そして仕事を辞めることがあったらその後は心おきなくネイビーのブレザーをどこにでも着て行きたい。