指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

アライチヒロ・ガーデンを夢みて。

恋するスターダスト

恋するスターダスト

今年読んだ本の中で一番好きだったのはしつこいようだけど平山瑞穂さんの「ラス・マンチャス通信」だった。架空の感じがものすごくてもともとそういう感じが大好きでツボにはまった。他には村上春樹さんの「東京奇譚集」と村上龍さんの「半島を出よ」がよかった。後者はあまり高く評価されているのを見たり聞いたりしたことがないが、こんな小説は他の誰にも書けないと思う。展開に予定調和的なところがあるにせよ、割と話題になった「希望の国エクソダス」より悪い作品とは思えない。
 それとは別に出版されると知っただけでわくわくしたのが新井千裕さんの「恋するスターダスト」だった。前作「逆さ馬のメリーゴーラウンド」から実に7年ぶりの新作で、何年か前からもう新井さんの新作なんて手にすることはできないんだろうと諦めていたからだ。発売日を待ちかねて書店で見つけたときは本当にうれしかった。期待が大きすぎたためか作品としてはどうかと思ったが、それでも新井さんの新作が読めて本当によかった。これからも読み続けることができるようならうれしい。新たなアライチヒロ・ガーデンを期待している。
今年の新刊に限らなければ、舞城王太郎さん、町田康さん、車谷長吉さんの作品がすばらしかった。舞城さんは初めて読んだ「煙か土か食い物」に度肝を抜かれた。町田さんは「くっすん大黒」に、車谷さんは「漂流物」にそれぞれ度肝を抜かれた。度肝を抜かれっぱなしだった。彼らの作品はこれからも読み続けて行くと思う。
高橋源一郎さんの「ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ」、よしもとばななさんの「みずうみ」「王国3」、絲山秋子さんの「ニート」などもおもしろかった。
というわけで本年のブログもここまでです。来年はどこまでやれるかわかりませんが、よろしくお願いします。よいお年をお迎え下さい。