指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

バイオハザードな宿、その2。

昨日の続き。部屋はブロックAの5階の隣り合ったふた部屋が割り当てられた。ブロックAは3階から6階までが客室になっている。7階には男女それぞれの大浴場がある。食事はブロックAの1階にある小宴会場が割り当てられている。つまり宿の機能はBの1階にあるフロントを除くとすべて建物の約3分の1を占めるだけのブロックAに限られている。宿の見取り図によるとBにもCにも結構な数の客室が用意されているにも関わらず、だ。
5階でエレベーターを降りると目の前にはブロックBの廊下が、階段を数段下がった向こうに続いている。でもそこの照明は落とされている。非常階段の位置を示す緑色のライトが遙か向こうに見えるだけだ。Bの客室のドアが並んでいるが、人が出入りする気配はない。従業員でさえ立ち入っていないように思える。その先のブロックCは言うに及ばずだ。客は目の前のブロックBに背を向けて反対側に導かれる。そこにはブロックAの客室のドアが続く。
部屋でも煙草は吸えるのだが、例によって外で吸いたいので客室を出ると、灰皿はエレベーターの前に行くまでひとつもない。仕方なくエレベーターの前に立って煙草を吸うことになる。そして階段の向こうのほの暗いブロックBの廊下と、うち捨てられた客室のドアを数分にわたって眺めることになる。いったいその客室のドアが開いたのはどれくらい前のことなのだろう?使わないのなら使わないで、どうして封鎖してしまわないのだろう?
そして二泊目の夕食の後風呂に行った帰り、酔いにまかせてブロックBへの数段の階段を下りてみた。
というところでさらに続きます。