指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

子供と家人のコートが送られて来る。

会社と家が近いのでお昼はいつも家に帰って食べるのだけど、今日その時間帯に父親から電話があり子供と家人のためのコートを買ったので送ると言う。合点するのにちょっと時間がかかったけど礼を言って電話を切った。大変複雑な気分だ。
子供のコートはコムサで買ったダッフルコートで買ったとき大き過ぎたこともあってこの冬で三冬目になる。ダッフルコートにしては若干短めな気がしてきたので、先日別の店でピーコートを見つけて買った。家人のコートも三冬目かそこらで、こちらはいい加減買い換えろと言っているのだが遠慮して買わない。その多少問題のあるコートをそれぞれ着てこの前の温泉に行った。それが父親の目にとまったらしい。
しかしいくら貧乏してるからと言って、家族のコートすら買ってやれないほどではない。この前の温泉に着せて行かなかっただけで現に子供のコートは新しいのを買ってあるし、家人のコートにしたところで一見してどこかが変と思われるほどくたびれているわけでもない。ただいつも同じのを着ているなと思わせるくらいのことはあったかも知れない。
きっと僕らが帰京した後で両親の間に微妙な話し合いがあったのだろう。その場面は容易に思い描くことができる。それでなくとも旅行はすべて向こう持ちな上にお年玉やら余った商品券(ほんとに余ったのか?)やら幼稚園入園のお祝いやらをたくさんもらって帰って来たのだ。僕はそれほど頼りなくかわいそうに見えるのだろうか。それともいくつになっても親は親ということなのだろうか。考えれば考えるほど、ほんとに複雑な気分になって来る。