指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

久しぶりのブック・オフ。

5月3日に帰省して今日帰京した。帰省中は子供を両親に預けて本を読んだり昼寝したり夫婦でディナーを食べに行ったりと優雅な時間を過ごした。前にも書いた通り実家のすぐそばにブック・オフがあるので、子供を両親に渡すやとるものもとりあえず出かけた。プロパーで買うほどじゃないんだけど廉価で手に入れられたら読みたい本というのがあって、今回は特に「平成マシンガンズ」と「チーム・バチスタの栄光」があったらいいなあとぼんやり期待していた。そしたら両方ともあった上に、「野ブタ。をプロデュース」と「グランド・フィナーレ」も見つかった。家人の羨望のまなざし(彼女には大した得物がなかった。)を尻目にとりあえず全部買う。「ナラタージュ」はもしも上記の4冊が一冊も見つからなかったら買っていただろう。でも今回はパスした。

平成マシンガンズ

平成マシンガンズ

野ブタ。をプロデュース

野ブタ。をプロデュース

読みやすそうな本から、と思って実家の二階のすでに布団が敷かれて好きなときに横になれるよう母親がしつらえてくれた部屋にこもり、寝っ転がって読み始めた。飲み放題の夕食や飲み放題の昼食や酔いにまかせてのうとうとの合間に二冊を立て続けに読み思ったのが、最近の中高生がいじめに対して自己を防御するのにどれほどの労力を払っているか、ということだった。おもしろそうだという以外は無作為に選んだ二作が、スタンスの違いこそあれいずれもいじめという要素抜きには成り立たなそうな展開だったのに少し驚かされた訳だ。中高生の姿を描くときに触れないわけには行かないほどいじめが普遍化しているか、あるいはいじめを取り上げないことには自分たちの物語にリアリティーを与えることができないと作者たちが考えているのか、さしあたって僕の位置からは判断できない。
平成マシンガンズ」は女の子の成長物語だと思う。抽象気味に語られる冒頭は、物語が終わってから再読する必要がある気がする。僕は冒頭だけ結構何度も読み返してみた。そこには明らかな断層があって、ある意味では物語の結末が予告されている。・・・いやそれは言い過ぎかな。とりあえず主人公は彼女なりの理路を辿っておとなになる。でもそのやり方は割と頼りないので、次回作が読みたい。文体はすごくいいと思う。
野ブタ。をプロデュース」はおもしろさと不気味さにうかうか読み進む内、結構ひどいところまで連れて行かれてしまう。まあご都合主義、つか、祝祭空間の描き方があまりゴージャスじゃなくてカタルシスが中途半端なのが気になるけど、よくやっていると思う。シビアなオチも付いている。でもなあ、文体がなあ。割と読みにくかった。