指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ひとりの食事。

幼稚園関係のイベントやつきあいもあってこのところ家人が結構忙しい。家と会社が近いので結婚して以来昼休みには帰宅して昼食をとるようにしていたが、それができない日が出てきた。
十八歳で上京して三十五歳で結婚するまで十七年にわたってひとりで暮らした。その間には彼女がいた時期もあったはずだけど思い出すのはひとりで食事をしている場面ばかりだ。別に寂しいとも思わなかった。食事なんてひとりでするものだという感じだった。
それが最近はひとりで食事をするのがひどく大儀になってきた。料理はまったくできないので外食だが、店に入ったり注文したりお金を払ったりするいちいちが煩わしい。おまけにもそもそとひとりで何かを食べること自体が面倒だ。泊まりの出張などでは、仕事が終わってホテルに入ってしまうと空腹なのに何かを食べに行く決心をするまでに随分と時間がかかる。最近ではもうラーメンということに決めてしまっている。時間がかからないし味の当たりはずれもそれほどは無いからだ。
なぜそんな風になってしまったかと言うともちろん年のせいもあるんだろうけど、やはり家人の存在が大きいのではないかと思う。今や僕は食事とは誰かと一緒にするものだと思っている気がする。その日にあったことをお互いにあれこれと話しながら、あるいは子供の面倒を見ながらする食事は、それだけで何事かだと思う。
昨日の昼は立ち食いそばを食べた。12月に入ってすでに二度目だ。月曜も同じだと思う。
何だかのろけみたいな記事だけど、僕の中ではそれとは紙一重違っている。