指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

インフルエンザ、B型。

熱が38度ちょっと出たのでかかりつけの小児科へ行き薬を処方してもらった。医師の話ではインフルエンザではないということだった。咳もひどいが喘息の発作ではなくまあ風邪だろう。念のため解熱剤ももらったが、38度5分以上の熱が出て本人が苦しそうにしていなければ使うなと言われた。薬を飲ませるとその日の内に熱はかなり下がった。
翌日も微熱と咳が続いたが前日に比べると随分元気になったように思われた。ただ食欲がないことが少々心配だった。ただでさえ好き嫌いが激しいのだが熱が出るともうほとんど何も口にしない。無理に食べると吐いてしまう。
次の日、熱が依然下がらず咳もひどいので再度かかりつけへ連れて行くと、薬を変えると言われたそうだ。怪しんだ家人が帰宅後にウェブで調べると普通なら八歳以上の子にしか使わない薬が処方されたことがわかった。何でも歯のエナメル質に変形が出る恐れがあるというものだった。できれば飲ませたくないんだけど、と家人は言う。一回だけ飲ませてみようよ、と答えて夕食後に飲ませた。
翌朝起きると熱は39度8分に跳ね上がっていた。咳もひどい。まず僕がブチ切れた。大体二度も診察を受けて薬まで変えてそれでも容態が悪くなるとはどういうことだ!前々から思っていたが喘息の発作にしろ風邪にしろあの医者にかかってよくなったことなんて一度もない。医者を替える!それで小児科も兼ねている内科の医者に連れて行った。
医師の診断では肺炎の恐れがあるということだった。ただもっと詳しく検査しなければならない。都立病院に紹介状を書くから今すぐそちらへ行けと言われた。都立病院はクルマですぐのところにある。家人が妊娠中かかっていた病院だ。すぐにタクシーに乗った。
病院はひどく混み合っていたが幸い小児科ではそれほど待たされずに診てもらえた。すぐに検査が行われた。喉の組織をとり、細いチューブで鼻の奥の組織をとり、採血に採尿それに胸部のレントゲン写真。検査結果が出るまで一時間ほどかかるというのでポケベルを持たされ病院内のベンチで待った。子供は比較的元気でおかしとジュースを少しずつとった。予告より早く三十分ほどするとポケベルが鳴った。
診断の結果はインフルエンザB型。A型と異なり劇的な発症をしないため診断が難しいらしい。肺炎には至っておらずてっきり入院かと思ったんだけどね、と医師に言われたそうだ。翌日には熱が下がった。食欲も少しずつ取り戻した。例によって回復期には本当によく眠る。
幼稚園で感染したと思っていたら、同じ組の仲の良い男の子がうちの子供とまったく同じ曲線を描いて熱が出たり小康したりまた熱が出たりしたらしい。おそらく同じ日に二人揃って感染したもののように思われる。