指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

真剣。

毎回やる度に思うのだけど終わると忘れてしまうことがある。それは子供の歯を磨いているときが一日で一番真剣なときなのではないかということだ。子供はあと四ヶ月ちょっとで六歳になるが今のところ虫歯になったことがない。白くてきれいな歯をしているし歯並びも悪くない。永久歯になるまで虫歯とは無縁でいさせたい。だから真剣に、丁寧に歯を磨いてやっている。
ほんとか嘘か知らないが二歳まで口腔に虫歯の菌(ミュータンス菌?)が入らなければ虫歯になる可能性はすごく低くなると聞いた。それで二年間家人とも僕ともスプーンや箸を共有させなかった。また口移しで食べ物を与えるとかいうことも(まあ普通に育てていればそういう機会があるとは思えないけど、とにかく。)しなかった。それが功を奏したのかも知れない。これは本当はよくわからないんだけど。
あと一歳を過ぎた頃から坂角総本舗の「ゆかり」というえびせんべいが大好きで、泣き叫んでいてもこれを与えると泣きやむほどだった。このためにカルシウムを豊富に摂れたことになった気もする。でもこれもまた本当にはよくわからない。
幼稚園でも歯医者に通う園児は割といるらしい。理由は判然としないがとにかく子供はその列に加わっていず、それはとてもいいことだと思っている。これはもしかしたら親の利益を度外視してもそう言えるかも知れない。純粋に子供のためだけを思ってしてやれることが少なくともひとつはありそうだと感じながら、歯ブラシを握る手に力を込めている。