指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

まとめて靴磨き。

このブログによると最後に靴磨きをしたのは昨年の6月ということになっている。それから一度も靴磨きをした憶えがない。それが今日はまとめて五足の靴を磨いた。黒のプレイントウと黒のローファー、茶のモンクストラップと黒とグレーのサドル、それに家人の黒のヒールだ。黒のプレイントウは昨年末まで外回りに履いていた。それまでのおよそ一年くらい何の手入れもしていなくて、三日くらい連続で履いたりしていたので相当に傷んだ。ちょっと修復できそうもない深いしわが何本かよってしまったし、細かい傷がむすうにある。元々は冠婚葬祭用に買った気がするが、それがなぜ外回り用にコンバートされたのか憶えていない。その前に外回りに履いていた靴、それは今日磨いたのとは別の茶のモンクストラップだったがそれが駄目になり、代わりを買う余裕(金銭的にも時間的にも。)が無くて履き始めた、といったあたりか。でも冠婚葬祭に履いて行ける靴は現時点でもそれしか無いので、多少傷んでいても磨いてできるだけ再生してもらうしかなかった。できばえは、五十点くらいか。
黒のローファーはこれのおかげで道で滑って骨折したという曰く付きの一品で、縁起が悪いので長く履かなかったが別に靴が悪いわけでもなかったんじゃないかと思い直してごくごくたまに履いている。なんで黒のローファーなんか買ったかと言うと我ながらよくわからない。ローファーは、茶でしょ?と自分につっこみを入れたい。一番最近履いたのがいつだったか思い出せないけど、磨くべき靴のリストに入っているということはいつかどこかで履いたのだろう。自分の口調から判断して、すごく気に入ってる靴とは言い難いようだ。
茶のモンクストラップは暮れに買って、今年の年始回りに履き下ろして以来外回り担当だ。外回りには茶のモンクストラップが一番ふさわしいと思っている。ただ外回り要員はタフに使われ勝ちでメインテナンスも滅多にされないので気の毒と言えば気の毒だ。今回はフランクフルトに同行してもらうために磨かれた。よかったね。ちなみにこの靴を磨く必要があったので残り四足もまとめて磨いてもらえた訳だ。
サドルは前にも触れたとおり僕の持っている靴の中では最古参で、かろうじて現役に踏みとどまっている。愛着で言えば一番だが、お気に入りでは二番目だ。サドルより気に入ってるのは茶のウイングチップでこれは家人の両親に結婚の挨拶に行くために買った。その後、身内だけのささやかな披露宴で履いたきり出番が無い。
家人のヒールは子供の入学式の時に履いたものだ。女性の靴は磨くところも少ないし磨きやすいし楽だ。でも一念発起しないと磨けないところが靴磨きの奥の深いところだ。
靴を磨いている間は、自分の来し方行く末をどうしても考える。この靴はいつ、何のために買ったんだっけ、とか、次にこれを履くのはいつだろう、そのとき状況は今と比べてどう変わっているだろう、とか、そんなことだ。それは靴磨きに独特の考え方で、そういう意味では靴磨き的歴史観というのがこの世にはある。少なくとも僕にはそう思える。