指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

依然として。

「芸術言語論」への覚書

「芸術言語論」への覚書

依然として吉本さんを読んでいた。今年になって本を三冊読んだけどすべて吉本さんの本だ。「芸術言語論」への覚え書き、とはかなり漠然としたタイトルで、構成としては「重層的な非決定へ」みたいな単行本未収録の文章の落ち穂拾いになっている。どこにも発表されたことにない文章も収められている。またそれ以外は一昨年、昨年といったかなり新しい文章が集められていてそういうのが読めることは本当にうれしい。と言うのも一時期吉本さんの本は出る本出る本みんなインタビューだったことがあり、目もお悪いらしいし吉本さん自らが手書き(この場合はたとえばワープロやパソコンを使ってのものも含まれるんだけど。)で原稿を書かれることはもうないのかな、と大変寂しい思いで推測していたからだ。
それで調べてみたら「心的現象論本論」とか「情況への発言」の集成なんかも出版されていたことがわかった。今度書店へ行ったら探して手に入れたいと思う。前者はウェブでしか入手できないんだったかな。
自分が仕事や生活に追われて怠けている間に、吉本さんはご自分の道を着実に歩んで行かれているような気がした。