- 作者: フリードリヒニーチェ,Friedrich Nietzsche,中山元
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/06/11
- メディア: 文庫
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ディオニュソス的な力がここでも称揚されている。その力が抑圧され転倒されて反対側の価値観が台頭して来た微構造を、ニーチェは荒々しい丹念さで跡づけている。でも事態はおそらく逆の過程で起こった。転倒した価値観に抑圧されたニーチェが、その価値観を克服しようと発見したのがディオニュソス的な力だったと考えた方が納得が行く。ニーチェは反対側の価値観をルサンチマンから生まれた病的なものと批判するが、その批判自体が彼のルサンチマンから生まれたものだ。起源は、隠蔽されてしまう。
でもおそらくこの本を読んだ後でなら、ツァラトゥストラも幾分かわかりやすくなるように思われる。何年ぶりだかもう憶えていないが、ツァラトゥストラを手にとってみようかと思った。あと新訳で全集が出るとすごくうれしい。