指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

読了。

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)

読み終えた。いやあ恥ずかしながらすごく感動した。本当に胸が震えた。ちょっとやばいくらいだった。別にやばくないか。ただこれまで何度か読んで来た中では今回が一番よかったと言って間違いない。
うーんと当初の、訳に関する興味だけど、やっぱり元の文体がわかりやすくはないので以前読んだよりも格段に読みやすくなっているとは言えない気がした。それどころかちょっとこれ意味が取れないよ、という所もほんの数ヶ所に過ぎなかったけどあった。気づいた限りでは、またこれは訳者も書いていることだけど、名前の表記が原文よりシンプルに書き換えられていて、これは読み応えをすっきりさせるのに幾分役立っているかも知れない。ロシア語では名前と父称を呼ぶことによって相手に対する敬意を表すと聞くが、以前読んだ訳ではこのことを踏まえてたとえばアリョーシャなら「アレクセイ・フョードロヴィチ」と表記されていたのが今回は「アレクセイさん」に統一されているか、かなりの頻度で後者に書き換えられているように思われる。ただこうした名前の統一が少しだけ犠牲を払っていることも確かで、たとえば以前読んだ訳では「ヴァンカ」という呼び方がイヴァン(イワン)の蔑称に当たるという注付きでそのまま書かれており、愛称だけでなく蔑称みたいなのまでロシア語にはあるんだ、と変に感慨深かったけど、それはイワンに書き換えられていた。
では訳以外のどこに今回これだけ感動した原因があったか、と肝心な点を書こうと思ったところで時間が尽きた。続きはまた明日。