指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

46歳になってからの「カラマーゾフの兄弟」。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

前にも書いた通り学生の頃ドストエフスキーにはまっていたことがあるので、米川良夫さんの訳で「カラマーゾフの兄弟」も何度か読んでいる。光文社文庫版はでも五巻揃えると結構な金額になるので気になりつつも手を出さなかった。先週の土曜にブックオフに行ったとき一巻目だけあったので買った。訳についての興味が買った理由の大部分を占めた。それなら一巻だけ読んでもなにがしかのことはわかる訳だ。
それで訳がわかりやすいかと言うと、まあ多少はそういう気もしないではないけど、大してわかりやすくなってもいねえなという思いの方が優勢だった。大体あまりすらすら読めてしまってもドストエフスキーを読んだ気がしないんじゃないかと思う。要するにもともとの文体が行きつ戻りつと言うか、あることを言い切った後に追加で細かな修正を施したりが多くて、きれいさっぱり立て板に水という文体ではないのでこれは仕方ないんじゃないかという気がする。それと細かいことを言うようだけど、米川良夫さんの訳では「・・・ですからね。」という言い回しが頻出するのだが今回の訳でもそれが踏襲されていてこれが気になると言えば気になる。「・・・ですから。」でいいんじゃないかと思うが、英語の付加疑問文のような言い回しがロシア語にもあるのだろうか。って第二外国語ロシア語だったんですけどね。
日曜から読み始めて今日岡山までの新幹線でかかった3時間半足らずの間で一巻目を読み終えてしまった。するとすごく続きが気になる。よく憶えているところとそうでもないところがあって、それらをつなぎ合わせると以前より少しだけ高い位置から物語を眺めているような印象ができた。仕方ないので二巻目をプロパーで買った。負けた気がした。それよりいい年してカラマーゾフ読んでないのかよ、と、誰もそんなこと言ってないのにひとりでに思えて来て買うのが大変恥ずかしかった。