指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

当初思ったより深刻に思われる。

テレビを見ていると地震津波の影響は思ったよりずっと深刻に思われる。画像には人の死は現れないが言葉には現れる。たくさんの方が亡くなったり行方不明になられたりしている。ご遺族の方、行方不明者の捜索に望みをかける方々のご心痛は察するにあまりある。心よりお見舞い申し上げます。自分なら平静を保つことなどできないだろう。
これだけの大きく悲惨な物語を前にして自分の言葉の軽さを本当に痛感する。福島第一、第二原発の成り行きは、でも都内にいる自分にとっても切実な脅威だ。今なんとか持ちこたえている生活がそれによって壊滅するかも知れない。今夜は都内も停電する可能性があるらしく、それは原発と直接関係するものではないことはわかっているけど、停電ひとつだけでも生活に及ぼす影響ははかり知れない。その不自由に耐えていらっしゃる方が今この瞬間にもいる。
でも大きな物語に飲み込まれてしまいそうな今だからこそ、小さな物語、日常の生活の物語を握りしめ続けることも大切なんだという気が一方ではしている。子供は遊びに行ったが友だちが誰もいなくて帰って来た。でも遊びには行かせた。僕はテレビを消して本の続きを読んだ。ビッグマックが売り切れのマクドナルドへ行ってベーコンレタスバーガーとフィレオフィッシュとポテトと飲み物を買って昼食にした。そういう普通のことを普通にすることが大切だと、なぜか強固に思っている。