指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

お弁当を食べに。

家人のつくったお弁当を携えて家族三人で都内の庭園に行くようになってからまだそんなに経っていない。昨日の祝日は清澄白河駅で降りて清澄庭園に行った。あまりよい天気ではなかったし本格的な紅葉にはまだ早かったけど年配の方々を中心に結構な人出だった。てくてくと小一時間かけて園内を一周する。ここは日本のあちこちから巨石を取り寄せて置いてありそれが売り物と言えば売り物だ。逆に言えばそんなのに興味が無ければただ景色を楽しみながら歩くだけのことだ。そういうのに子供が飽きてしまうことがないかと言うと、これが存外飽きずに池の脇の飛び石を渡ったり、立て札の結構難しい漢字を声に出して読んだりしている。鯉や亀や鴨を熱心に眺めていたりもする。もともと散歩が好きなのでこういう場所の楽しみ方もひとりでに身についたのかも知れない。
一周してから売店をのぞくと鯉のえさとしてお麩が売られていた。この前小石川後楽園に行ったときには鯉にえさをやるのが楽しくて一袋では足らずに二袋目を買いに走ったほどだった。それでそのえさの袋を子供に持たせてもう一周。水中にいる鯉よりも水面に浮かんでいる鴨の方が目端も利くし動作も機敏でどうしてもえさをゲットする割合が高くなる。それでできるだけ鯉にえさが行き渡るように工夫しながら与える。海が近いからかかもめの姿も見かけられる。
えさを撒き終えたところでピクニックテーブルに陣取ってお弁当を食べ水筒の熱いほうじ茶を飲む。なんてささやかな行為だろうと思う。それでいて満ち足りている。
お弁当を食べることが最大のテーマなので食べてしまえば帰る。ただ今回は近くの深川江戸資料館がおもしろそうなので見に行く。ここは江戸の町並みが再現されていて靴を脱いで家の中まで入って行くことができる。子供ばかりでなく大人が見てもおもしろい。
午後も早い時間帯に帰宅。友だちと約束がある子供は帰るや否やゲーム用のカードを持って遊びに行く。