指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

北さんの作品を読み返したい。

中公文庫版の「どくとるマンボウ青春記」を読み終えた。作者は40歳になったのを機にこれを書き始めたらしいけど、すでに当時の作者より8コも上になった身からすると、いささか隙と言うか穴と言うかが見受けられる気がして、若い頃読んだときのように全面的に肯定する気にはなれなかった。でもかつての自分がこの本に本当に深く影響を受けたことは確かだ。それはしっかり過ぎるほどしっかりと再確認できた。
それで北さんの作品を読み返したくなって書棚から古い文庫本を引っ張り出してみた。手始めに未読の「夜と霧の隅で」を手に取る。新潮文庫版で、自分の手書きの日付によると14歳のときに読み始めたらしい。その年齢の自分にははなかなか手に余る気がする。実際、「岩尾根にて」、「羽蟻のいる丘」までは読んだ記憶があったが、そこまでで読むのを断念したみたいで、「霊媒のいる町」以降は読んだ記憶がない。何度かトライしたが歯が立たなかったような記憶もかすかに残っている。
とりあえず「霊媒のいる町」まで昨日読んだ。そして、そのせいかどうか、自分ではそのせいじゃないかという気がしてるんだけど、夜中にとても恐い夢を見た。