指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

だからどうしたんだ。

この人の閾 (新潮文庫) 保坂和志著 「この人の閾」
表題作の他に三編を収録。ちょっと寝不足なせいもあったかも知れないけど途中退屈してしまい申し訳ありません。表題作はまだよかったんだけど、全体的になんて言うか、だからどうしたんだ、って感じで、後の作品に比べて生硬な感じだった。たぶん何かを意識的に避けてるためにこういう風になるしかないんだろうと思う。その避けてるものはたとえば「夢のあと」に出て来る「なんかさあ、『夢のあとみたい』とか言っちゃうと、それで、何か言ったような気になっちゃうけどさあ。でも、本当はそういうのって、何も言ってないのと同じことじゃない」という台詞が言い当てている何かだと思うんだけど、そしてこの台詞をここだけ取り出せば諸手を挙げて大賛成なんだけど、それを中心に置いて小説を書こうとすると明らかに失われる重要なものがある気がして。その処理がまだうまく行ってるように思えないと言うか。ちょっと硬い気がしました。すいません。