指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

涙は出るんだけどね。

三匹のおっさん (文春文庫) 有川浩著 「三匹のおっさん」
いきなりこういうことを書くのもどうかと思うけど「阪急電車」を読んで以来、つかそれしか読んでないんだけど有川さんの作品は好きではない。簡単に言うと勧善懲悪みたいなすごく通俗な倫理に作品が覆われていて良い人は必ず良い人で悪い人は単に悪い人なだけだ。でも言うのもあれだけどひとりの人が善にも悪にもなって現れるのが現実の世界で必ず良い人がいたらそれはどこかで誰かが嘘をついているからだ。どこの誰が嘘をついてるかと言えばそれは作者しかいない。その嘘の感じがとても居心地を悪くさせる。
ただ会社に貸してくれる人がいて借りた以上は読む。有川さんのファンの方には申し訳ない。
今回もどこかで聴いたことのあるような話だったり、それは人間て言うより人形と言った方が近いねと思ったり、まあいろいろと難癖をつけながら読んであちこちでうるっと来た。もっとも涙が出るからと言って感動とは限らないしいい作品とも限らない。もともとセンチなのが、年をとってさらに涙腺がゆるくなっただけの話だ。