指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

庄野真代さんの「アデュー」。

 この曲がとても好きだった。メロディーもいいし歌唱にも説得力があるし歌詞も物語がしっかりしていて切ない。クルマは運転しないのでそういう機会はなかったけどドライブ中にかけるための自分で編集したアンソロジーをつくるとしたらあるテーマの中に必ずこの曲も加わると思う。そのテーマとはニューミュージック。完全な死語だ。でもニューミュージックの時代に圧倒的な影響を受けた年代なのでこれはもうどうしようもない。他にはオフコースの「Yes-No」とか松山千春さんの「大空と大地の中で」とか世良公則&ツイストの「銃爪(ひきがね)」とか風の「海岸通り」とかさだまさしさんの「フレディもしくは三教街」(これは隠れた名曲で泣ける。)とかCharさんの「闘牛士」とかが入りそうだ。なんだ男性アーティストばっかりだな。まあいいや。それで図書館で何度か探したところ庄野さんの「飛んでイスタンブール」とか「モンテカルロで乾杯」とかはヒットしたのでCDを借りて手に入れた。でも「アデュー」はないようでとりあえず諦めていた。ところが今日なぜか突然どうしてもこの曲が聴きたくなりアマゾンで探したらDL販売があったので買った。「The Very Best of Mayo Shono」。「Hey Lady 優しくなれるかい」とか入ってて懐かしい。アマゾンのレビューを見ると「ルフラン」の人気が高いらしいし実際いい曲だと思う。でもいやいやいやいや「アデュー」でしょうが。どうだいこの物語性。初めて聴いたときからなんて切ない話なんだと思っていた。でもまあ人様の好みを云々する立場でもないので自分だけの心の一曲ということでも別に全然構わない。
 今日は最寄りのJRの駅前でピンクハウスの大きな紙袋を抱えた女の人を見かけた。袋の隙間からいかにもピンクハウス的なデザインの布地がのぞいていた。今でもショップがあるんだね。ピンクハウスなんてバブルとセットじゃなきゃ存在しないんじゃないかと思ってたけどそれって偏見だよね。そう言えばハロウィーンだった先週の日曜は同じ駅前でキャプテン・ハーロックのコスプレをしてる人を見かけた。大山トチローのものらしき帽子を手にしてたので惑星ヘビーメルダーに墓参りに行ってたんだろう。あるいは我々が共に立っているその場所が他ならぬヘビーメルダーということだったのかも知れない。顔の傷とマスクしてたかどうか確認できなくて残念だった。もうひとつ思い出したのはハロウィーンでもなんでもないまだ暑い頃に上から下まで完全にウルトラ警備隊のコスチュームを身につけた人が同じ駅前を歩いてたこと。歩きながらポケットからマスクを取り出しておもむろにつけてたのがちょっとおかしかった。ひとりなら夢かもと思ったかも知れない。でも一緒にいた家人も確認してるのでたぶん現実だったんだろう。曲は杏里さんの「オリビアを聴きながら」に代わる。このころの杏里さんの声はまだちょっと少女っぽくていたいけな感じがする。つい最近そのことに気づいた。