指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

四週間目。

 バイトを始めて四週間目に突入した。なんとか続けて行けるんじゃないかという気がしている。今日は別の部署の仕事の二回目。教えてくれるのは前回と違って学生の男の子。この子も結構話し好きでいろいろ話す。もうすぐ就活だと言うのでまあ役に立つとは思えないけど体験談とか。二時間半でいつもの部署に戻ろうとするとシフトをつくってる社員の女の子がやって来てこちらの仕事も慣れてきたかと尋ねる。慣れては来たけどひとりでは無理だと思うと答えるとひとりではまだまだ入らないけどそのうちにこちらも任せるかも知れないと言う。楽とは言えそれなりに責任のある仕事でちょっと不安もある。この、シフトをつくってる社員の女の子はこれからも度々登場しそうなので名前をつけておこうかと思う。シフトのシをとってしーちゃんでいいか。今から振り返ると初めてメールでバイトに応募したときに対応してくれたのがこのしーちゃんだった。返信までの間隔が短くて相当きびきびした人なんじゃないかと想像された。面接してくれた人はもう少し年上の男の人だった。ただこの人は今のところ現場の仕事にはほとんどタッチしてない。初出勤のときに各種書類の書き方や仕事の大ざっぱな流れを説明してくれたのもしーちゃんだった。背はそんなに大きくなくてボブにしていてマスク越しの顔しか知らないけどなかなかかわいくてすごく感じがいい。二十五歳くらいだろうか。いつも社員用のユニフォームに身を包んでいる。シフトに入る人がいなくて困るとグループラインで知らせが来る。グループラインはしーちゃんからバイトへの一方通行なので(もちろんバイトも書き込めるんだけど誰も滅多に書き込まない。)こちらからは別の手段で連絡した方がいいと思ってメールで返信していたらラインの方が助かると言うので今はグループラインとは別にラインでやりとりしている。収入が増えることとしーちゃんを助けることが同義なのでシフトにはできるだけ入りたいというのが今のスタンスだ。仕事は午前と午後に分かれていて午前で最も頻繁にシフトに入るベスト3に今僕は入ってるのでしーちゃんの覚えもなかなかめでたいんじゃないかと思う。