指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

新しい日常。

 受験生が二月でいなくなった後の三月は他にも辞めた生徒さんがいたおかげで夜の授業が月曜と水曜しかなかった。なので入れる限りバイトに入ろうと思っていつもの土曜と日曜の夜以外にもシフト希望を出して入れてもらえればバイトに入っていた。でも新学期から夜の時間帯が土日以外は授業で埋まった。夜は基本毎日授業というのは久しぶりなのできついかなと思ってた。それがいざ始まってみると確かにバイトよりは楽だけど思ってたよりはきつい。前にも書いたように教えるというのは体力勝負なところがある。もちろん頭もバイトよりは使う。それやこれやでなんだか常に眠いしああ疲れたと思うことも特に減った感じがない。ただバイトで疲弊したときの徒労感みたいなものは随分減ったかも知れない。我が身を無為にすり減らしてる感じがどうしてもあったから。もちろんそれで対価を得て家族を養ってるんだから完全に無為という訳ではないにせよ。でも授業をしていれば曲がりなりにも成果というものを感じることができる。できなかったことができるようになる生徒さんの姿を目にすることはそれだけでやりがいを感じさせてくれる。要するに今のこの新しい日常は実は一度失ったものを取り戻しただけのことに過ぎない。