指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

勝ってはいけなかった監督。

 ソフトバンク・ホークスの藤本監督が退任ということになった。たまに試合の中継を観るとその迷采配振りにやきもきさせられる監督だった。クライマックスシリーズのファーストステージ最終戦スマホでところどころ成り行きをうかがってただけなんだけど0対0で迎えた延長十回の表にやっと3点先制したと思ったらその裏に出てきた津森投手がワンナウトも取れずにランナーふたりを許し三人目のバッターにスリーランを浴びてあっけなく同点とされてしまった。その後交代した投手がタイムリーを打たれ逆転サヨナラ負け。CS敗退となった。津森なんか出すからだと家人は言う。それは正しいかも知れないし正しくないかも知れない。でもペナントレース中から藤本監督に対してこの人は本心を言えば勝ちたくないんじゃないだろうか、少なくとも勝つために死力を尽くすという姿勢を放棄してるんじゃないだろうかと思わざるを得ない場面が結構あった。野球中継なんかほんの数試合しか観てないにもかかわらずだ。だからそれは迷采配なんかではなく実は勝つことを禁じられた監督なんじゃないかと途中から思うようになった。勝ってはいけない野球監督。それは一体どういうことか。来季から小久保新監督に替わるという情報はファンなら随分前からなんとなく耳にしたことがあったんじゃないかと思う。この小久保という人は実はサムライジャパンの監督のときに割にやらかしちゃってる。迷采配振りということなら藤本さんとどっこいどっこいというところかも知れない。現役時代はホームラン王を獲ったこともあるけどいい選手が必ずしもいい指導者になるとは限らないというのはスポーツの世界では強力なテーゼのうちのひとつだろう。だからこのブログでも前に一度小久保監督だけは勘弁してくれみたいなことを書いた覚えがある。もちろんそんな黒歴史なんかはなかったことにして小久保をホークスの新監督にしたい人々がいるんだろう。その人たちの思い描く筋書きは低迷を続けてるホークスを救う救世主としての小久保監督といったところなんじゃないかと思われる。実際パ・リーグは今年で三年連続してオリックス・バファローズペナントレースを制している。現状はホークスにとって明らかな低迷と言える。そしてその低迷振りを演出するには藤本監督は勝ってはいけなかった。優勝なんて滅相もない。Bクラスに落ちるとファンが離れるかも知れないからAクラスはキープしつつでも低迷してるように見せなければならなかった。それが小久保新監督にとっての花道となるからだ。(あわやBクラス落ちというところまで追い詰められたけど。)そう考えるとベンチに座る藤本監督のいつも泳いでたあの目がなんだか気の毒にも思えてくる。さて次の問題はそう簡単に思惑通りに行くのかなということだ。個人的には小久保監督の手腕というものにまったく信頼を置いていない。サムライジャパンのときと同じ轍を踏めば救世主どころかホークスの息の根を止めかねない。それでもまさか一年契約ということもないだろうから何年かは小久保監督につき合わなければならないだろう。僕としては彼が猛勉強してせめてごく当たり前の采配ができるようになっていることを願うだけだ。