指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

うっちゃんが帝王切開になるかも知れない。

 バイト仲間のうっちゃんが来月予定日を迎える。ところが逆子が直らずに帝王切開の可能性が出て来たそうだ。手術の日取りもすでに決まっていてそれまでに逆子が直らなければ(医者の見立てでは直る可能性はかなり低いらしい。)手術になる。僕としては声のかけようもない。ただ女の人というのは本当に大変だと改めて感じ入るだけだ。うちの子も一時期逆子だったことがあり医者からおなかに向かって呼びかけるといいと聞いたので毎日呼びかけたりしていた。名前がまだ決まってなかったので家人の猫好きにちなんで仮称たまとしてたまーたまーと呼びかけた。これが功を奏したのかいつしか逆子は直っていた。あれはあれで割に必死だった。妊娠したときから親というのはずーっと必死な訳だけど。お話変わってこの前うっちゃんがお客さんの経営するフレンチのお店に行ったという件についてはここでもすでに触れた。その中でデザートのケーキもとてもおいしかったと言うので僕の好きなトップスのチョコレートケーキの話をしたら彼女がトップスを知らないことがわかった。僕が唯一食べられるケーキなんですよーと紹介すると食べてみたいと言ってメモしている。明日は彼女の出産前の最後の出勤なので池袋西武のトップスに朝イチで行ってチョコレートケーキを買ってプレゼントすることにしている。いつもお世話になってるグレートマザーまーさんも出勤なので彼女の分も買って来よう。ただしうっちゃんが帰る時間とまーさんが帰る時間に三時間の開きがあるのでその間まーさんの分は冷蔵庫にしまっておかねばならない。冷蔵庫は事務所に一台あるだけなんだけどあれ使わせてもらえるのかなあ。とちょっと心配している。最悪うちの冷蔵庫にしまっといてまーさんが帰る直前に持って行けばいいか。とか職住接近だと意外なところで融通が利く。
 ウィークデイに年金事務所へ行ける機会などまずないのでこの三日間の有休の間に行くというのが大きなテーマのうちのひとつだった。それで今日重い腰を上げて出かけた。家人も一緒に行ってどこかでお茶でも飲みながら待ってると言う。だから午前中にふたりで出かけた。まるで台風のように風の強い日で少し歩くと家人も僕も髪がめちゃくちゃになった。ただ予報よりも早く雨が上がってくれたのは助かった。年金事務所に着くと基本的に予約をしないと相談には乗ってもらえないことがわかった。キャンセル待ちしててもいいけどどれくらい時間がかかるかわからないと割に若くてかわいめのおねえさんが言う。それじゃあ予約して出直そうと決めると現在三週間先まで予約がいっぱいでそれ以降の対応になると言う。ということは今月中はほぼ無理だ。わざわざウィークデイにお休みをとらなければ来られないのに十一月はもうウィークデイのお休みがない。なので来月の初旬に年金事務所へ行くためのお休みをわざわざ一日とってそこに予約を入れた上でまた訪れなければならない。面倒と言えばかなり面倒だ。でもそれを済ませないと年金がもらえない。前にも書いたかも知れないけど(そのうちこのブログのタイトルをこの「前にも書いたかも知れないけど」に変更しなきゃいけないかも知れない。)六十歳を過ぎたので年金を前倒しで受給するつもりでいる。六十五歳から受給するのと比べると四分の一くらい減額されるらしい。全然構わない。支払った数百万円をすべて回収するのがいちばんの目的だ。たぶん今からもらえば十年経たずしてそれが達成できるしそれ以降も生き続けていれば生き続けた分だけ得になる。子供は結婚する気がないみたいなので僕が死んだ後も家人の面倒を見てくれるかも知れない。でも結婚なんて縁なのでいつどこで考えが変わるかわからない。小説家の収入なんてたかが知れてるし僕が死んで家人が受け取れる生命保険の金額もまたたかが知れてる。家人は今親兄弟と事実上の絶縁状態にあり(それについてもいつかお話しする機会があるかも知れない。もちろん僕は全面的に家人の言い分に賛同している。)つまり僕が死んだら数年で完全に詰んでしまう。そうならないようにできるだけのことを家人にはしておいてやりたい。死亡保険にもうひとつふたつ入っておくとかね。それと貯金。そのためにも年金はある意味生命線となる。なんとか一月から受給できるよう最善を尽くす。