指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

退院になった。

 午前中弟が迎えに行き母親は退院になった。午後母親から電話がかかって来て入院の手続きをしに行ったことについて礼を言われた。まあでも当たり前のことをしただけだ。看護師長さんがとてもいいご家族ですねと母親に言ったそうだ。何がいいのかよくわからない。普通の家族が普通にしそうなことをやったとしか思えない。でもそう言われて母親はとてもうれしかったそうなのでそれならよかった。もしも実家に家族としてどこかいいところがあったとしたらそれは母親がつくった家族だからだ。そう思ったので母親にそう言った。母親は気が強く子供にも大変厳しかったが情の深いよく気がつく人だった。それには感謝してるし今うちの家族がうまく行ってるのも僕に関して言えばこの母親に育てられたせいかも知れない。味覚に障害があるらしいけど命を取り留めたことの前では大した問題ではない。とにかくまた母親と話をすることができてよかった。今はただただほっとしている。落ち着いたら顔を見せに行こう。
 今日のスイムは三十五分弱で千五十メートル。泳ぎ始めたのはいつもより一分ほど遅かったんだけど意識的にペースを上げて最初の四分で五分分泳いで時計に追いつくとあとは終始時計を上回るペースで難なく泳ぎ切ることができた。目指すは三十分で千メートル。大した違いには思えないかも知れないが体感では遠い道のりだ。