指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

雪の次の日。

 現状長靴は言うに及ばずスニーカーというものさえ持ってないので雪がまだ残る今朝もアディダスのサンダルを突っかけてバイトに行く。有志の方々が朝早くから雪かきに精を出していて頭が下がる。でもシャーベット状の雪が五センチくらいの厚さになってるところもあって結局サンダルと足はびしょびしょになる。バイト先の更衣室で着替えた後サンダルはロッカーに立てかけておく。帰る頃にはすっかり乾いていて助かった。ちなみにバイトにはアディダスの黒のジャージの上下にアディダスの黒のバックパックアディダスの黒いサンダルで行く。上半身はジャージの下にグレーのパーカを身につけてフードだけ外に出している。それにブラックウォッチの古いマフラーを巻いてる。これはバイトに行く専用の格好だ。普段はスポーツウェアというのはまったく身につけない。高校生の頃以来スポーツウェアというのは買ったことがなかった。(シューズはアディダスのスーパースターだけ何回か買った。)でもバイト先がスポーツ関係なのでスタッフもお客さんもスポーツウェア系の人が割と多い。それに引っ張られてという訳でもないんだけど気がついたらそんな出で立ちになってた。バイト仲間の学生さんからアディダスと契約でもしてるんすかと尋ねられたことがある。僕と契約して何のメリットがあるんすかと返したんだけどまあそれくらい徹底してる。だってウェアがアディダスでシューズがナイキでバックパックがプーマだったら変じゃないですか?家人はそれじゃ寒そうだからアディダスのグラウンドコートみたいの買ったらと言う。確かに寒いのは寒い。でもコートまで羽織ってしまうとサンダルとのバランスが崩れる気がする。現状がサンダルが履けるぎりぎりの線だと思う。なんでそこまでしてサンダルにこだわるのかと言えばこれはもう一も二もなく早く履けるからということに尽きる。ソックスとシューズを履くのに比べたら何十秒かは早い。早く履けるということは早く帰れるということだ。その一秒を削り出すようにして毎日一刻も早く帰ることに励んでいる。早く帰ってゆっくり酒を飲みゆっくりお昼を食べゆっくり昼寝する訳だ。
 バイトが終わり着替えを済ませて外に出ると道端以外はほとんど雪が消えていて乾いたばかりのサンダルを濡らさないで帰ることができる。まだ少しだけ雨が降っていて空気は冷たい。でもほんのわずかな家路だ。
 そう言えば今日のプールは本当にお客さんが少なくて空いていた。常連さんの中でも自転車で通う人たちは来るのを見合わせたらしい。一応不要不急の外出は避けるようにということになっているしプールで泳ぐことはどう考えても不要で不急だ。お客さんが少ないと時間が経つのが遅い。でも疲労は少ない。毎日あんな風だと仕事としては楽だ。でも明日は今日の反動で混み合うような気もする。明日は一時間ほど受付に回してもらえることになっている。ちょっとうれしい。今日のスイムは相変わらず三十五分弱で千メートル。楽じゃない。なんか時制が行ったり来たりするエントリになったかも知れない。平にご容赦のほどを。